教育版マインクラフトとは?違いや魅力を解説
教育版マインクラフト

世界中の何百万人ものゲームプレイヤーの心を掴んできたマインクラフト。
ゲームとして人気を博す一方、学校の授業でも活用できる教育ツールとしても認知が広まってきました。
2016年に教育版マインクラフトがリリースされると、学校でマイクラを利用した取り組みもぐんと増えてきています。
この記事では、そんな教育版マインクラフトの特徴や魅力についてまとめます。
教育版マインクラフトとは?どこでできる?
教育版マインクラフトは、学校での利用を想定して2016年に正式リリースされました。
統合版やJava版に比べるとまだ知名度も低いですが、どういった特徴があるのでしょう?
教育版マインクラフトとは
教育版マインクラフトとは、学校の授業でより利用しやすくなったバージョンで、2016年にマイクロソフトから正式リリースされました。
この版は
- 安心・安全なマルチプレイが可能
- コーディングができる(ブロック式、Python、Tynkerが選べる)
- 数百件以上の多様なワールドテンプレート
- 指導者向けにレッスンサポート資料がある
などの特徴を持ち、子どもたちが夢中になるマイクラの面白さを損なわないまま、より安全に、かつ、様々な学びのきっかけを得ながら楽しめるソフトになっています。
リリース当初は学校などの教育機関向け限定で配布
正式リリース後、教育版マインクラフトは基本的に学校などの教育機関向けに配布されてきました。
購入方法も他の版と違い、毎年のライセンス契約という形をとっており、組織での利用がしやすくなっています。
なお、Microsoft 365 Education A3/A5のライセンスを持っている学校であれば、教育版マインクラフトのライセンスがすでに含まれていますので、追加費用なしに使うことが可能です!
現在はより幅広いユーザーが利用できるように
最初は学校機関のみだった教育版マインクラフトですが、2012年には配布対象が拡張され、より多くの人が利用できるようになりました。
現在ではMicrosoft 365管理アカウントを持っていればライセンスを購入できます。
一般ユーザーも利用可能になったことで、プログラミング教室やホームスクーリングなどでも利用するケースが増えてきているようです。
また、個人でも購入できましたので、そのうち別の記事でまとめたいと思います。
教育版マインクラフトはスイッチではできない
教育版マインクラフトは、残念ながらスイッチやプレステではプレイできません。
現時点で利用可能なプラットフォームは以下となっています。
- Windows
- Mac
- Chromebook
- Android
- iPhone / iPad
教育版マインクラフトの特徴と他の版との違い
学習をサポートする機能や仕組みが満載の教育版マインクラフト。
その特徴や、他の版との違いをまとめました。
豊富な既成レッスンプラン
教育版マインクラフトには、ワールドテンプレートと呼ばれるレッスンプランが豊富に用意されています。
各ワールドテンプレート内では、テーマに沿った世界が予め用意されており、ストーリーや課題を進めながら、そのテーマの内容について学ぶことができます。
テーマは算数や英語といった科目を勉強できるものから、地球温暖化、生物多様性、人種などSDGsを含む様々な内容があり、その数も数百件に上ります。
一方、統合版で利用できるマーケットプレイスやJavaで利用できるModなどは利用不可です。
教室内でのマルチプレイが簡単
教育版マインクラフトでは同じネットワーク上にいるプレイヤー同士であれば、ローカルネットワーク内で簡単にマルチプレイができます。
最大40人までのプレイヤーが同時接続が可能で、特別なサーバーを用意する必要なく、大人数でのマルチプレイを楽しむことができます。
もちろん、2人組や数人のグループでの協働作業も可能です。
また、建築できる場所やチャット機能のコントロールが可能で、過剰な荒らしや不適切なコメントに制限を掛けられるようになっています。
なお、教育版でマルチプレイをする場合には、同じOffice 365アカウントでライセンス付与されたプレイヤー同士でなければいけません。
また、お家からマルチプレイする場合など、異なるネットワーク上の誰かと繋ぐ場合には、ネットワーク設定の変更が必要になる場合があります。
あくまで同じ教室(学校)にいる者同士でのマルチプレイを想定しており、オンライン通信の安全性担保のため、他のプレイヤーとのマルチプレイは難しくなっています。
個人で利用する場合には、Java版や統合版に比べると、むしろマルチプレイの壁が高くなるので注意が必要です。
プログラミングが学べるコードビルダーが標準搭載
教育版マインクラフトでは、コードビルダーに簡単にアクセスできます。
それこそcキー1つでプログラムを書く画面が開きます。
コードビルダーでは、ブロック型のコーディングやPythonを使ってプログラムを書き、整地や建築の作業などができます。
本当に気楽に使えるので、試しにプログラミングやってみるかと軽い気持ちで挑戦することができます。
また、前出のワールドテンプレートには、このコードビルダーを使って課題を解決していくレッスンもありますので、プログラミングの知識0から始めてもワールドテンプレートで遊びながらプログラミングを学ぶことができます。
NPC(Non-player characters)を操作できる。
教育版マインクラフトでは、ゲーム内でガイド役となるNPCを作成し、指定の言葉を喋らせることができます。
この機能があることで、プレイヤーはゲーム内の登場人物を使って指示やヒントを提供したり、参考資料へのリンクを提示することができます。
情報を記載できる黒板がアイテムとして追加
教育版マインクラフトでは黒板アイテムが追加されています。
統合版やJava版では看板アイテムに3行程度までの文章を記入することができますが、教育版マインクラフトではこの黒板が追加されたことによって、より長い文章をゲーム内に設置することが可能です。
このアイテムを使うことで、NPC同様、ゲーム内で指示やヒントを提供したり、参考資料へのリンクを提示することができます。
黒板のサイズは、(1×1)、(2×1)、(2×3)の3種類です。
記録に便利なカメラとポートフォリオのアイテム
教育版独自のアイテムとして、カメラとポートフォリオ(カメラで撮った画像を記録できる)が追加されています。
この2つのアイテムを使うと、マイクラ内の進捗をカメラで撮影し、その記録をポートフォリオに説明つきで記録することができます。
取り組んでいるプロジェクトの説明や経過、完成品の記録を残すことができ、pdfで出力も可能ですので、このポートフォリオをそのまま制作物の説明書としたり、レポートとして提出することもできます。
Allow、Deny、Borderなどの制御ブロックが使える
教育版ではAllowブロック、Denyブロック、Borderブロックなどのアイテムが利用できます。
これらのブロックを使うことで、例えば、プレイヤーが建築できる場所とできない場所を特定したり、プレイヤーが特定のエリアに入ったり出たりするのを防ぐことができます。
その他の独自要素
そのほかにも教育版マインクラフトだけのブロックやアイテムがたくさんあります
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元素ブロックや、その元素ブロックを組み合わてできるブリーチなどの化合物アイテム。化合物は分解もできます。
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雪や氷を溶かせるヒートブロック
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水中でも爆発するTNT
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手に持てるスティック花火や、グロウトーチ
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MOBを浮かせることができる風船
などなど、面白い要素がたくさんあります。
教育版マインクラフトの魅力
いくつもの独自機能を持つ教育版マインクラフト、その魅力をまとめます。
ゲームベース学習がしやすい!
最近では、ゲームと学びをつなげるゲームベースの学習 (Game based learning)への注目が高まっています。
ゲームベースの学習では、ゲームしながら学習効果が上がるような環境を用意することで、子どもたちの遊びたい・学びたいという意欲を能動的な学習につなげ、知識や技能の定着を促します。
好きなものであれば、自分で調べてどんどん詳しくなったり上達するというのは、確かに納得感がありますね。
教育版マインクラフトには、ワールドテンプレートやコードビルダー、特殊アイテムなど、幾つもの学習要素が織り込まれ、まさに、「ゲームに打ち込むうちに、色々な課題に触れることができる」ゲームベースの学習プラットフォームとなっています。
充実の公式ウェブサイト
公式ウェブサイトには教育版マインクラフトに関する情報が蓄積されていて、今後の広まりを思わず期待してしまう充実ぶりです。
数百にのぼる世界テンプレート
教育版マインクラフトの公式ウェブサイトでは、様々な学科の教材資料が自由にダウンロードして使えるようになっています。
レッスンのテーマは算数や英語、理科、SDGs関連のものなど様々な内容があり、その数なんと数百にものぼります。
レッスンもイギリスのケンブリッジ大学による英語学習、BBC Earthとのコラボで作られた生物多様性に関する内容や、NASAのコラボで作られ宇宙探索をテーマにした内容など面白そうなレッスンが多数です。
こうした教材が自由にダウンロードして使えるのは教育版マインクラフトの大きな魅力です。
教育現場でのマインクラフトの利用事例を辿れるブログ
教育版マインクラフトのブログでは、レッスンプランに関する最新情報や、世界各地でのマイクラを利用した学習の取り組みを紹介してしています。
ここを読んでいると、他の国や地域の教育機関でマイクラがどのように使われ、受け入れられているか知ることができます。
教育者向けの資料やサポートもしっかり
公式ウェブサイトでは指導者や保護者向けの資料や講習会などへの案内もしており、教育コミュニティ拡大へのサポートも手厚いです。
マイクロソフトでは、指導者としての資格も認定しており、誰でも受講可能です。
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残念ながら、現在はサイト内のコンテンツの多くが英語ですが、こうして一つの場所に知識が集積・共有されているだけでとても便利です。
マイクラの教育利用に向けた環境の整備が思った以上に本格的に取り組まれていることが新しい発見でした。
マイクラを教育のプラットフォームにしようとする気合が伝わってきますね。
こうした後押しを受けて、今後マイクラを使った学習の輪が広がるが増えていくのならワクワクします。
まとめ
この記事では教育版マインクラフトの特徴と魅力についてまとめてきました。
教育版マインクラフトは、学習現場でマイクラを利用することを想定してデザインされており、他の版に比べると、ワールドテンプレートや特殊アイテム、教室内でのコラボレーションのしやすさなどが特徴となっています。
また、学校やプログラミング教室での利用を考える上では、オンライン接続やコミュニケーションの制限もあり、安心して利用できます。
ただ、Youtubeで見るようなModやマーケットプレイスのワールドで遊んだり、学校の外でお友達とマルチプレイすることはできないので、個人で遊ぶ場合には、まずはJava版か統合版がおすすめです。
教育版を試したい場合には、無料で試せる体験版レッスンや、一部統合版でも公開しているワールドテンプレート、Minecraftカップへの参加などで試すことができます。
また、個人でも購入可能でなので、それについてはまたの別の記事でまとめたいと思います。
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